厳守すべき採用関連の法律

採用に関して守るべき法律が幾つかあります。様々な法律が入り混じってる為、理解が難しいところかもしれません。ただ、法律違反には罰則がありますので、しっかりと重要な部分は理解しておく必要があるでしょう。ここでは、採用関連で重要な法律を抜粋してご案内致します。

求人募集に関する法律

職業安定法

労働者の募集や求人申込みの際に、少なくとも以下の事項を書面の交付によって明示しな ければなりません。

  • 業務内容、契約期間、就業場所、就業時間、休憩時間、休日、時間外労働、賃金などを明示する事
  • 試用期間の有無(ある場合には期間)を明示すること
  • 裁量労働制を採用している場合には、みなし労働時間を明示すること
  • 固定残業代を支給している場合に「基本給」「手当と金額」「〇時間を超える時間外労働についての割増賃金の追加支給の旨」を明示すること

雇用対策法

労働者の募集及び採用について年齢制限の禁止が義務化されております。

ただし、一部、例外がありますので、年齢制限を設ける場合には下記の理由を掲示する必要があります。

  • 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
  • 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
  • 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
  • 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 期間 の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

など

男女雇用機会均等法

労働者の募集・採用において性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとしております。また、業務上の必要性など、合理的な理由がない場合に、募集・採用において労働者の身長・体重・体力を要件とすること、労働者の募集・採用、昇進、職種の変更をする際に、転居を伴う転勤に応じることを要件とすることは、間接差別として禁止されています。

改正健康増進法

求人の申し込みに当たっては、就業場所における受動喫煙防止のための取組を明示する必要があります。

採用選考・面接に関する法律

職業安定法

応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定してはいけないとしております。いわゆる就職差別につながる選考方法はしてはいけません。

特に応募用紙やアンケートの記入、面接時の質問などにおいて、下記の個人情報の収集は原則として認められていません。また、採用選考の実施方法においても就職差別につながるような方法は認められていませんので注意が必要です。

  • 本人に責任のない事項(本籍、出生地、家族、住宅状況、生活環境、家庭環境)の把握
  • 本来自由であるべき事項(宗教、支持政党、尊敬する人物、労働組合の加入状況、愛読書など)の把握
  • 戸籍謄本、住民票、健康診断書(業務を遂行することができるかを確認するために提出を求めることが認められる場合もあります)などの提出

その他、【求人募集に関する法律】で記載した雇用対策法における年齢制限や男女雇用機会均等法は選考においても順守すべき事項になります。

内定に関する法律

内定は採用選考の最終段階になりますが、この内定と言う言葉の意味を正しく理解していないと法律違反に抵触する可能性が高くなりますので注意しましょう。

まず、採用側が内定をだすと、この時点で採用側と内定者との間には労働契約が成立します。

労働契約が成立しますので、たとえ入社前であったとしても、労働者として扱われますので、労働基準法や労働契約法など様々な関係法令の適用を受ける事となります。

労働基準法

労働条件に対する最低基準を定めた法律です。会社から採用内定を通知した時点で労働契約が成立しますが、労働契約の成立に際しては労働条件を書面にて明示する必要があります。明示すべき労働条件には、法律上必ず明示しなければならない事項(絶対的明示事項)と、使用者が定めをした場合には必ず明示しなければならない事項(相対的明示事項)とがあります。以下が絶対的明示事項です。

  • 労働契約の期間に関する事項
  • 就業の場所、従事すべき業務に関する事項
  • 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  • 賃金の決定、計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時期、昇給に関する事項
  • 退職に関する事項

労働契約法

労働契約が成立している状態では、内定の取り消しは解雇に当たり、労働契約法の解雇権の濫用が適用されることになります。客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない限り、内定取り消しは無効となります。

また、解雇する場合には労働基準法による解雇予告手当の規定が適用されます。